2月から、午後だけ病理検査室に「お手伝い」に行っている。
病理検査というのは、手術等でとれた臓器をいろいろと処理し、組織を顕微鏡で見て病理医が診断するための薄切標本を作るのが主な仕事である。
知らない人には何がなんだかわからない説明だと思うがそれでいいのだ。
そんなことは問題じゃない。

前々から、病理検査室には「誰か」いや「何か」がいる…と言われていた。
以前病理にいたYさんなどは実際「見える」人らしく、もう一人そういった感覚が強いらしいT先生と同じ「人」を見たとか言っていたこともある。
Yさんほどはっきり見なくても、人の気配がしたとか足音が聞こえたとか、そんな話題が耐えない検査室なのだ。

なんでかな〜。やっぱり臓器を扱ったり、解剖に携わったりするからなのかな〜。

でも、私はそういったものはまったく見えないし、感じない。
だからといって「そんなの気のせいだ」などと否定するつもりもないのだが。
見える人には見えるんだろうけど、私にはかかわりのない世界だよね〜…くらいに思っていた。

午後、仕事が一段落したので、私は机を背にして少しの間ボーっと椅子に座っていた。
すると、机に触れたわけでもないのに(机からは30センチは離れていた)床に何かが落ちた。
見ると机に置かれた顕微鏡の接眼レンズのカバーだ。
あれ? と思う。
カバーがかかってなくて、落ちそうな位置にあったのかな? 空調かなんかで落ちたのかな?
とくに気にも留めず、拾い上げてカバーをかけた。
ちなみにこのカバー、空調どころかちょっとの地震くらいなら構造上、まず落ちることはない。
不思議には思ったが、それ以上気にすることはなく、仕事に戻っていった。

そして夕方…。
後輩Hが話していた。
「さっきTさんが後ろを通ったなーと思ったんですけど、誰もいなかったんですよ」
するとTくん、
「今日は頭の後ろを引っ張られる感じがするんですよね」
そしてMまで
「私も今日は足音を何回も聞いた」
「ねえ…それってもしかして何かいる…ってこと?」と私。
「はい。今日はなんか活発なんですよ」
Hがこともなげに言う。
「やっぱり一昨日慰霊祭だったからですかねぇ」

なんだそれ…っていうかこれは病理の日常茶飯事なのか?
まぁいいよ。私は何も見えないし、感じないし…

あああーーーーっっ!!

さっきのか! あれか! たしかに誰もいなかった。落ちるはずのないものが落ちたよ。しかも誰かが投げたみたいに私の前まで落ちてきたよ。私の背中より後ろから? 自然に落ちたらああはならないよねならないよねあああああ。

「あのさぁ…明日から病理来なくていい?」

とはいえひとり暮らしのわたくし、まったく普通に帰ってきて、こうしてひとりで日記書いてます。

やっぱりさ、見えないものは見えないし、「別に悪さはしないから」とはYさん談。

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