長い1日
2001年5月5日ゴールデンウィークを退屈に過ごしているMとTに引越しの手伝いをお願いした。
Mのでかい4駆と私の車とで、衣装ケースやダンボールを少しずつ運んでしまおうという考えだ。
2回くらい往復してもらって、2人に昼食をごちそうして、その後みんなで買い物にでも行こうかな、なんて考えつつ、外はまさに五月晴れ。気持ちのいい日になりそうだった。
しかし事件は突然やってきた。
閑静な住宅街での信号待ち。後ろについてくるTを乗せたMの車も、当然停車中。もうすぐ青になるかな、と思った瞬間、後ろから何かがぶつかる派手な音。バックミラーを見ると、Mの車に別の車が突き刺さるようにぶつかっていた。
信号待ちで完全停止。しかもMの車は3台目。道路の両脇には側道も、店も駐車場も無い。
どう考えても、事故が起こる状況じゃない。
私もわけが分からず、窓を開けると、Mが関西弁で怒鳴っていた。(ヤツは大坂育ち)
急いで車を端に寄せ、降りてMの車のもとへ。しかし現場を近くで見ても、やっぱり状況はさっぱり分からない。
同乗していたTですら、「気がついたら突っ込まれてた」としか分からないらしい。
とにかく警察に連絡し、Mもとりあえず交通の妨げにならないように車を寄せた。
ところが、事故の相手の様子がおかしい。車を寄せようとするのだが、うまく動かないらしく、何度も急発進、急停車を繰り返している。
そうしているうちに、近所の奥さんたちが続々と外に出てきて、あたりは急に騒がしくなった。
するとその野次馬たちの間から、「あーっ」という声があがった。見ると、先刻から車を動かそうとしていた相手の車が、駐車してあった別の車にぶつけていた。
慌てて中のドライバーに声をかける近所の奥さん。しかし、どういうわけか40代くらいのその女性は車を降りようともせず、また急発進を繰り返す。
「あの人、ちょっとおかしい!」
誰かが気づいてドアを強引に開け、女性を無理矢理車から降ろし、鍵を取り上げた。
警察が来るのがやけに遅い。GW中のうえ、そこここで取り締まりをやっていてどうやら人手が足りないらしい。
警察を待つ間も相手の女性は挙動不審なことを繰り返した。
突然座り込んで煙草をふかしたと思ったら、外れたホイールキャップをはめ込もうとしてみたり、立ち上がってもふらふらしていてまともに歩けない様子だ。
「酒飲んでるんじゃないの?」
誰かが言った。
そうかもしれない。言動もおかしいが、第一、事故の状況が普通では考えられない。
ああ、早く警察来て!
事故発生から約40分後、ようやくパトカーが到着。現場検証と取り調べが始まる。
事情聴取、現場検証、そして相手の女性のアルコール呼気試験。すべて終わったのは事故から2時間後だった。
その間にも相手の女性の不可解な行動は続き(しかしアルコール呼気試験は陰性だった)調べが終わった後も状況がよくわからないといった様子。
放っておいたらまともに動かない車をまた運転して第2、第3の事故を起こすぞ、こいつは。
私とTと、近所のおばちゃん数人で必死に訴えた結果、警察でレッカー車を呼んでくれ、相手の車は引き上げられていった。
ほぼ同時にMが頼んだJAFも到着、私たちもその場を離れたので、その女性がどうやってかえったかまでは知らない。
Mは車のディーラー、保険会社、JAF…と、次から次へと電話したり、警官の質問にてきぱき答えたりと、終始気丈に振舞ってはいたが、実際はどれだけ落ち込んでいたことだろう。
他人に弱みを見せないというか、わりと1人で抱え込んでしまうタイプなので余計に心配だ。
でも、「頑張って」「元気出して」は言えない。頑張ったってどうにもならないし、元気なんか出るはずもない。
私にできることは少ないけど、ヤケ食いでもカラオケでも、何なら飲みでも(Mは飲めない)いつでも付き合うぞ。たまには甘えても大丈夫。
…そんなメールを別れてから入れた。
Mのでかい4駆と私の車とで、衣装ケースやダンボールを少しずつ運んでしまおうという考えだ。
2回くらい往復してもらって、2人に昼食をごちそうして、その後みんなで買い物にでも行こうかな、なんて考えつつ、外はまさに五月晴れ。気持ちのいい日になりそうだった。
しかし事件は突然やってきた。
閑静な住宅街での信号待ち。後ろについてくるTを乗せたMの車も、当然停車中。もうすぐ青になるかな、と思った瞬間、後ろから何かがぶつかる派手な音。バックミラーを見ると、Mの車に別の車が突き刺さるようにぶつかっていた。
信号待ちで完全停止。しかもMの車は3台目。道路の両脇には側道も、店も駐車場も無い。
どう考えても、事故が起こる状況じゃない。
私もわけが分からず、窓を開けると、Mが関西弁で怒鳴っていた。(ヤツは大坂育ち)
急いで車を端に寄せ、降りてMの車のもとへ。しかし現場を近くで見ても、やっぱり状況はさっぱり分からない。
同乗していたTですら、「気がついたら突っ込まれてた」としか分からないらしい。
とにかく警察に連絡し、Mもとりあえず交通の妨げにならないように車を寄せた。
ところが、事故の相手の様子がおかしい。車を寄せようとするのだが、うまく動かないらしく、何度も急発進、急停車を繰り返している。
そうしているうちに、近所の奥さんたちが続々と外に出てきて、あたりは急に騒がしくなった。
するとその野次馬たちの間から、「あーっ」という声があがった。見ると、先刻から車を動かそうとしていた相手の車が、駐車してあった別の車にぶつけていた。
慌てて中のドライバーに声をかける近所の奥さん。しかし、どういうわけか40代くらいのその女性は車を降りようともせず、また急発進を繰り返す。
「あの人、ちょっとおかしい!」
誰かが気づいてドアを強引に開け、女性を無理矢理車から降ろし、鍵を取り上げた。
警察が来るのがやけに遅い。GW中のうえ、そこここで取り締まりをやっていてどうやら人手が足りないらしい。
警察を待つ間も相手の女性は挙動不審なことを繰り返した。
突然座り込んで煙草をふかしたと思ったら、外れたホイールキャップをはめ込もうとしてみたり、立ち上がってもふらふらしていてまともに歩けない様子だ。
「酒飲んでるんじゃないの?」
誰かが言った。
そうかもしれない。言動もおかしいが、第一、事故の状況が普通では考えられない。
ああ、早く警察来て!
事故発生から約40分後、ようやくパトカーが到着。現場検証と取り調べが始まる。
事情聴取、現場検証、そして相手の女性のアルコール呼気試験。すべて終わったのは事故から2時間後だった。
その間にも相手の女性の不可解な行動は続き(しかしアルコール呼気試験は陰性だった)調べが終わった後も状況がよくわからないといった様子。
放っておいたらまともに動かない車をまた運転して第2、第3の事故を起こすぞ、こいつは。
私とTと、近所のおばちゃん数人で必死に訴えた結果、警察でレッカー車を呼んでくれ、相手の車は引き上げられていった。
ほぼ同時にMが頼んだJAFも到着、私たちもその場を離れたので、その女性がどうやってかえったかまでは知らない。
Mは車のディーラー、保険会社、JAF…と、次から次へと電話したり、警官の質問にてきぱき答えたりと、終始気丈に振舞ってはいたが、実際はどれだけ落ち込んでいたことだろう。
他人に弱みを見せないというか、わりと1人で抱え込んでしまうタイプなので余計に心配だ。
でも、「頑張って」「元気出して」は言えない。頑張ったってどうにもならないし、元気なんか出るはずもない。
私にできることは少ないけど、ヤケ食いでもカラオケでも、何なら飲みでも(Mは飲めない)いつでも付き合うぞ。たまには甘えても大丈夫。
…そんなメールを別れてから入れた。
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