寝起きが悪く、朝の機嫌が最悪な私。朝一の採血当番ほどつらいものはない。なにしろできれば他人と会話したくない、声も出したくないくらいなのに、そうもいかない。明るく「おはようございます」から始まり、「お大事に」まで、とにかく優しく、笑顔で。

でもやっぱり頭もまだ回転していない状態なので、決まった文句以外のフリートークはできない。患者の中には話し好きな人もいて、いろいろと話し掛けてくる人もいるが、朝の私は何を言われても「そうですねぇ」「そうなんですかぁ」しか答えられない。というか、何を言われたのか理解できないままに相槌だけをうっていることが多い。

そんな朝の採血での出来事。
いつものように腕を出してもらい、駆血帯を巻く。よく血管が見えていても、まずは指で触って深さや、硬くなっていないか、ころころと針を避けて逃げやすくはないか、などを確認する。
その患者の血管は、問題なく採れそうな「いい血管」だったが、朝なので少し念入りに触って確認していた。するとその中年の男性患者は
「大丈夫だよ、そこで」
と言う。採血慣れしている患者は「ここで採って」とか、「いつもここなの」とか良く分かっていることが多く、この人もそうなのだろうと思っていた。患者は続けて言う。
「自分でやっても入るんだから」
「そうなんですかぁ〜」
…無事採血終了。患者が去ったあとで何か引っかかるものを感じた。
「自分でやっても入るって…どういう意味なんでしょうね…」
受付の女の子が小声で言った。
それって…なにを「入れる」んだ?
いやいや、深くは考えるまい、きっと言葉の綾ってやつさ。うん、気にしない。
次の方、どうぞ。

病院は、あらゆる方がいらっしゃる。人生いろいろ。

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